ミネラルは私たちの身体を構成している元素の一部で、無機質とも呼ばれ、身体にとって重要な役割を担っている五大栄養素の一つです。
では、ミネラルにはどんな特徴や健康効果があるのでしょうか。
このページでは、ミネラルについてお伝えしていきます。
ミネラルとは
ミネラルとは、人間の身体の組織を構成する原料となり、身体の調整に関わる重要な栄養素です。
ミネラルは、地球上に存在する118種類の元素のうち114種類が該当します。それらの中で、私たちの身体に欠かせないことが明らかになっているものは13種類です。
ミネラルは身体に必要な量はわずかですが、体内でつくることができないため、食品やサプリメントなどで摂取する必要があります。不足した場合は欠乏症や身体にさまざまな不調が起こりますが、とり過ぎた場合も過剰症や中毒を起こすものがあります。
ミネラルの種類
ミネラルは「多量ミネラル」と「微量ミネラル」の2種類に分けることができます。
多量ミネラル
多量ミネラルには、次の5種類があります。
・ナトリウム
・カリウム
・カルシウム
・マグネシウム
・リン
1日の必要量が100mg以上のミネラルで、体内のミネラルの99%以上をしめています。
微量ミネラル
微量ミネラルには、次の8種類があります。
・鉄
・亜鉛
・銅
・マンガン
・ヨウ素
・セレン
・クロム
・モリブデン
1日の必要量が100mg未満と少ないですが、身体にとって必要不可欠であるため、バランスよく摂取することが大切です。
ミネラルの効果
ミネラルには、主に次の4つの効果があります。
1. 骨や歯など身体を構成する
2. 酵素の働きをサポートする
3. 体液の調節をする
4. 筋肉・神経の機能を保持する
身体の機能維持や調節に必要不可欠な栄養素です。
不足しがちなミネラル
これらのミネラルの中で、不足しがちなものは次の5種類です。
・カリウム・・・ヒジキ、海苔、バナナ、里芋など
・カルシウム・・・小魚、牛乳、チーズ、豆腐など
・マグネシウム・・・わかめ、ひじき、アーモンドなど
・鉄・・・レバー、カツオ、アサリ、大豆、小松菜など
・亜鉛・・・牡蠣、レバー、玄米、納豆など
カリウム
カリウムは、高血圧の大きな要因となる塩分(ナトリウム)の排泄を促進することで血圧を正常に保つ働きや神経伝達の補助、筋肉の収縮などに関わっています。水に溶けやすい性質があるため、生野菜のサラダや生の果物で効率よく摂取することができます。
カリウムが不足すると、脱力感や食欲不振、けいれん、筋力低下、不整脈などの症状がみられることがあります。
高血圧など生活習慣病の予防のためにカリウムは積極的に摂取することが推奨されています。なお。大量に摂取した場合でも、体内で調整できるため、カリウムが体内で過剰になることはほとんどないと言われています。しかし、腎臓に障害があると、尿としてカリウムを排泄できなくなってしまうため、注意が必要です。
カルシウム
カルシウムは、骨や歯を形成し、人体に最も多く存在するミネラルです。また、ごく一部は、血液の凝固を促して出血の予防や筋の収縮作用があります。
カルシウムが不足すると、骨や歯が弱くなり、幼児では発育障害が起こります。不足状態が長期間続くと骨密度が低下し、高齢期、特に閉経後の女性では、骨粗鬆症の原因となります。一般的にほぼ全ての世代で不足していることが明らかになっているため、意識して摂取していきたいミネラルです。
一方で、通常の食生活でカルシウムを過剰に摂取してしまう心配はほとんどありません。
サプリメントなどを摂取している場合は、他のミネラル同士互いに影響しながら吸収されるので、健康に悪影響が出ないように使用目的や摂取量を守って使用するように注意が必要です。
また、ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収率が悪くなり、運動などである程度骨に負荷もかけないと利用効率が低くなってしまいます。そのため、キノコ類や魚などビタミンDを多く含む食品を一緒にとったり、適度な運動と日光浴もおすすめです。
マグネシウム
マグネシウムには、カルシウムと共に骨や歯を形成するほか、体内で行われる様々な代謝を助ける働きがあり、筋の収縮や神経の情報伝達、体温・血圧の調整も行なっています。
マグネシウムが不足すると、骨の形成に影響が出るほか、不整脈や心疾患、高血圧、けいれんなどが起こりやすくなります。また、神経過敏症、不安や抑うつなど精神症状などが生じることもあります。
また、とり過ぎた場合も、過剰分は尿から排泄されるので、過剰症の心配もありません。しかし、食事以外にサプリメントなどでとり過ぎると、下痢を起こすことがあります。また、腎臓に障害があると、尿から排泄できなくなってしまうため注意が必要です。
鉄
鉄には、貧血を予防する働きや血中の酸素を運搬する働きもあることから、疲労回復の効果も期待されています。
鉄が不足すると、貧血になることが知られています。また、動悸や息切れ、頭痛、めまい、倦怠感などがみられることがあります。成長期の子供や月経のある女性、妊娠・授乳中の方は特に鉄不足に注意が必要です。
一方で、通常の食生活をしていて鉄をとり過ぎる心配はありません。サプリメントなどで、長期間過剰にとり過ぎると、胃腸や肝臓の障害につながることがあるので注意が必要です。
亜鉛
亜鉛には、さまざまな酵素をつくる働き、タンパク質やDNAの合成、体の成長の促進、免疫力の強化などの働きがあります。
亜鉛が不足すると、タンパク質やDNAの合成がうまくいかず、成長障害や味覚障害、皮膚炎、貧血、免疫力低下、脱毛、生殖機能低下などがみられることがあります。
一方で、通常の食生活をしていれば過剰摂取の心配はほとんどありません。サプリメントなどで過剰にとり過ぎると、吐き気、下痢、HDLコレステロールの低下などにつながることがあるので注意が必要です。
過剰摂取しがちなミネラル
過剰摂取しがちなミネラルは次の2種類です。
・ナトリウム・・・食塩、味噌、漬物、明太子など
・リン・・・煮干し、チーズ、卵など
ナトリウム
ナトリウムには、身体の水分バランスの保持、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収や輸送などの働きがあります。
日本人の食生活では、とり過ぎてしまうことが多いミネラルの一つです。
過剰に摂取し続けると、むくみや口が乾く、高血圧、胃がん、食道がんなどの原因となります。ついとり過ぎてしまいがちになるため、十分注意する必要があります。カリウムを多く含む野菜や果物を一緒に摂取することで、ナトリウムの排泄を促進することができるため、塩分のとり過ぎを調整するのに役立ちます。
夏場で大量に汗をかいたり、激しい下痢症状の場合には、不足する可能性があり、疲労感や食欲不振がみられることがあります。そういった時は、水分だけでなく、ナトリウムも一緒に補給するようにしましょう。
リン
リンは、カルシウムに次いで身体に多く存在し、骨や歯の形成、エネルギーを作る補助や貯蔵する働きがあります。
リンは、食品添加物にも多量に含まれており、加工食品の利用が増えている現代では、過剰摂取に注意が必要です。とり過ぎると、カルシウムの吸収が妨げられ、骨が弱くなったり、副甲状腺機能の亢進、腎機能の低下をきたすことがあります。
カルシウムとリンの摂取比率はほぼ同じ量が望ましいとされており、食品添加物が多く使用されているインスタント食品や加工食品の利用が多い場合は、注意が必要です。
ミネラルが不足してしまう現代の食事
ミネラルは熱に弱いものが多く、加工食品などの偏った食事ではミネラルが不足してしまいがちです。
また、肉体的・心理的ストレスを消費するのにも、体内のミネラルを大量に消費してしまいます。
ミネラルは互いに吸収や働きに影響を与え合うことがあるため、バランスよく摂取することを心がけていきましょう。