こちらのページでは身体にとって非常に重要な栄養素である《タンパク質》についてお伝えさせていただきます。
タンパク質は糖質・脂質と共に三大栄養素の1つであり、我々人間には欠かすことのできない栄養素です。
人間の体は水分を除くと次に多いのがタンパク質です。
適切なタンパク質の摂取ができると身体を良い状態に保つことができます。
逆に、適切なタンパク質摂取ができていないと身体に不調をきたしてしまう原因になってしまいます。
タンパク質とは?
人間の身体の約60%は水分でできていますが、次に多いのがタンパク質で身体の15~20%を占めています。
タンパク質によって人間の身体は構成されており、身体の筋肉や内臓、爪、皮膚、髪、ホルモン、酵素、免疫細胞、神経伝達物質などをあやゆる組織を作り上げています。
タンパク質が不足してしまうと、筋力低下、内臓不調、爪や肌や髪がボロボロになる、免疫が弱くなり風邪をひきやすくなるなどのデメリットが非常に大きくなってしまいます。
タンパク質はアミノ酸で構成されている
タンパク質はアミノ酸が集まって出来上がっています。
自然界には数百種類のアミノ酸が存在していますが、その中の20種類のアミノ酸でタンパク質は出来上がっています。
人間だけでなく、動物や細菌などといった生物は20種類のアミノ酸からできているのです。反対に20種類のうち1つでもアミノ酸が欠けてしまうとタンパク質を構成することができなくなってしまいます。
20種類のアミノ酸のうち、11種類は人間の体内で作ることができます。
しかし、残りの9種類については身体の中で作ることができないため、外から食べ物や飲み物として摂取する必要があります。
この9種類のアミノ酸のことを必須アミノ酸と言います。
必須アミノ酸が不足してしまうと身体の中でうまくタンパク質を作ることができなくなってしまい、身体に不調をきたすことがあります。
身体のタンパク質は常に入れ替わっている
タンパク質はアミノ酸が集まって出来上がっているとお伝えしましたが、人間ではアミノ酸によって10万種類以上のタンパク質が作られ、身体を構成しています。
身体のタンパク質は一度摂取したらずっと身体に残るわけではなく、分解と合成を繰り返して不要になったものは身体の外に排出されてしまいます。
そのため、人間は毎日適量のタンパク質を摂取する必要があります。
例えば、筋肉は180日、赤血球は120日、肝臓タンパク質は60日でその半分が入れ替わるとされており、絶えず人間の身体では不要なものを分解し、新しく必要なタンパク質を合成しています。
そのため、良質なタンパク質を摂取しなければ身体も良い状態に保つことはできなくなってしまいます。
良いタンパク質とは?
必ず摂取しなければならないタンパク質であれば、できるだけ質の良いタンパク質の摂取がオススメです。
また、どんなタンパク質を摂取するかで、自分自身の身体の状態は大きく変わります。
上手にタンパク質を摂れば良い細胞が出来上がり身体の調子は良くなります。
反対にタンパク質を摂れば細胞が不完全で身体に不調をきたします。
最近では良いタンパク質の基準として《アミノ酸スコア》と《DIAAS(消化性必須アミノ酸)》という指標が使われるのでご紹介します。
アミノ酸スコア
アミノ酸スコアとはタンパク質の栄養価を示す指標であり、WHOでも認められている世界的な指標です。
食物に含まれている必須アミノ酸がどの程度含まれているかによって計算され、0~100までの数値で評価されます。
9種類の必須アミノ酸が一定量含まれていればアミノ酸スコア100となり、「良質なタンパク質」となります。
反対に、1種類でも基準に満たされない必須アミノ酸がある場合、アミノ酸スコアは低くなります。
例えば、肉類(牛肉,豚肉,鶏肉など)、卵、魚介類などの動物性タンパク質はアミノ酸スコア100のものが多いです。白米やパン、野菜類はアミノ酸スコア60~90程度のものが多く必須アミノ酸が足りない場合があります。しかし、大豆はアミノ酸スコア100であり良質なタンパク質と言えます。
DIAAS(消化性必須アミノ酸)
DIAAS(消化性必須アミノ酸)とは必須アミノ酸の消化吸収率を表した新しい指標です。
食べ物を摂取しても、その消化吸収のしやすさは異なり、アミノ酸の吸収効率が変わるという点に着目した指標です。
前述のアミノ酸スコアが同じ100であっても、DIAASが低ければ身体に吸収されにくいということになります。
そのため、アミノ酸スコア100であり、DIAASが高い食材が良いタンパク質と言えます。
どれくらいのタンパク質を摂れば良いの?
体重(kg)×1gが推奨
1日に必要なタンパク質摂取の目安は、おおよそ体重(kg)×1g程度が推奨されています。
普段の生活の運動量が多い方は少し多めに摂取して体重(kg)×1.2~1.5g程度がおすすめ。
スポーツ選手や筋力トレーニングで体づくりをされている方は体重(kg)×2g程度がおすすめです。
例えば、一般的な成人男性60kgの方であれば1日に60g程度のタンパク質を摂ることが必要になります。
不足も過剰摂取も良くない
タンパク質を摂取する上で大切なのは過不足なく摂ることです。
足りなければ、身体の組織を正常に作ることができず、不調をきたしてしまいます。
反対に、過剰に食べすぎることも注意が必要です。1度に身体に消化吸収できるタンパク質の量には限界があるため、1日の間に食べすぎても消化不良を起こし体調を崩したり、脂肪として身体に蓄積されてしまったりして良くありません。
1日の間に適量を取り入れることが大切です。
《心》の安定にも重要なタンパク質
タンパク質は身体を作る材料としてだけではなく、身体の機能を調整するホルモンの材料にもなります。
ホルモンの中にはメンタルに重要な影響を及ぼすものもあります。
代表的なものがセロトニンです。セロトニンは別名「幸せホルモン」と言われ、ストレスに対処し、自律神経のバランスを整え、緊張や不安を緩和する作用があり、心を安定させることができます。
さらにセロトニンは夜間になるとメラトニンという睡眠に作用するホルモンに変化します。日中にセロトニンがしっかり作られると夜にしっかり眠れるようになります。
セロトニンは必須アミノ酸であるトリプトファンから作られます。そのため、タンパク質をしっかり摂り、必須アミノ酸を摂取することで心を安定させることができます。
タンパク質の上手な摂り方
朝・昼・晩に分けて定期的にとる
タンパク質を食べる上で大切なことは1回の食事で一気に摂ろうとせず、1日3食の中で回数を小分けにして食べていくことです。
身体が1度に消化吸収できるタンパク質の量は決まっています。
過剰に摂りすぎても消化しきれず体外に排出されて無駄になってしまったり、消化不良を起こして体調を崩してしまうことがあります。
タンパク質は1日の中で小分けにして食べていくことが大切です。
動物性タンパク質・植物性タンパク質をバランスよく摂る
タンパク質は肉類・魚類・卵・乳製品など動物由来の動物性タンパク質と大豆や野菜に含まれる植物性タンパク質に分けられます。
動物性タンパク質はアミノ酸スコアが高く、吸収も良いためタンパク質をたくさん摂るにはメリットがあります。反面、脂肪やコレステロールが多かったり、過剰な動物性タンパク質の摂取はガンの発生につながるとの報告もありデメリットもあります。
植物性タンパク質は動物性タンパク質に比べてアミノ酸スコアが低いことが多く、吸収率も悪いというデメリットがあります。しかし、カロリーが低く太りにくかったり、食物繊維・ビタミン・ミネラルが豊富、血圧や血糖値を下げる働き、生活習慣病を改善し死亡リスクを下げる働きなど重要なメリットがあります。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、両方バランスよく摂取して補い合うことが大切です。
プロテインを活用する
1日のタンパク質摂取量を計算すると60〜100g程度必要な計算になりますが、これを1日の食事の中で毎日完璧に摂るのは難しいことがあります。
朝起きれず朝食が取れなかったり、仕事が忙しくて食事の時間がしっかりとれず簡単に済ませていたりなどどうしてもタンパク質が不足してしまうことがあります。
また、食材に含まれるタンパク質の量を見ると意外とたくさん食べなければならないことがわかります。例えば100gの豚肉に含まれるタンパク質は20g程度です。つまり、60~100gのタンパク質を毎日摂ろうとすると豚肉のステーキを300~500g毎日食べる必要があります。牛乳にすると1.5~2.5L、卵にすると10~17個程度食べる必要があります。
少食の人では毎日この量を食べることは難しいかもしれません。
そこでプロテインを補助的に飲むことで足りない分のタンパク質を補うという方法もおすすめです。特に現代の食事では動物性タンパク質を食べる機会が多いので、植物性タンパク質のプロテインを摂取するのも良いかもしれません。
加工食品を避ける
同じタンパク質でもハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉食品は要注意です。
これらには発がん性を指摘されている添加物が使用されており、WHOの国際がん研究機関による発表では加工肉食品を1日に50g食べると大腸がんのリスクが18%高くなると報告されています。
同じタンパク質を摂る上でも加工食品は避けるのが無難です。
分解吸収しやすい状態で摂る
せっかくお肉や魚を食べてタンパク質を摂ってもうまく消化されなければ身体に吸収されません。
特にお肉などを食べる際にはステーキのような塊肉よりも、ひき肉のようなミンチ状にしてある方が消化吸収には良いとされています。
同時に咀嚼も非常に重要で、口の中でよく噛み、しっかり吸収しやすい状態でタンパク質を摂取することが大切です。