❶「四十肩と診断されて」

今回、「四十肩」という診断を受けた状態で来院されました。
確かに、肩の痛みや可動域の制限があり、四十肩の典型的な症状が見られました。
四十肩の原因はさまざまで、正確な見極めが重要です。
誤った判断をすると適切な施術ができず、改善しないこともあるため注意が必要です。

特に「肩が痛い」という症状があると、病院では四十肩や五十肩と診断されるケースが少なくありません。
一度その診断名がついてしまうと、セオリー通りの施術が施されることが多く、もし純粋な四十肩や五十肩ではない場合、効果が出にくいことがよくあります。

❷「腱の損傷が見逃されていました」

半年間にわたり改善が見られなかったM.K様も同様のケースでした。
検査の結果、肩関節の「腱板」と呼ばれる部分に軽度の損傷があることがわかりました。
腱板とは、棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋の4つの筋肉から構成される腱組織です。
筋肉には必ず「腱」という部分があり、肩に存在する腱板が損傷していました。

腱板に損傷がある場合、一般的な四十肩に対する治療を行っても十分な改善が見られないことが多いです。
ただし、症状としては肩の痛みや可動域の制限といった四十肩に似た状態のため、見逃されるケースが少なくありません。

今回は、M.K様が問診時に仰った「力が入らない」という言葉が、大きなヒントになりました。
通常の四十肩や五十肩では、「力が入らない」という症状を訴える方はあまり多くありません。
さらに詳しく問診と検査を進めたところ、最初のきっかけは、重い物を持った際に「ピキッ」とした感覚があったことが判明します。
このエピソードや検査結果から、腱の損傷を疑うに至り、腱板の損傷が症状の主因であると判断しました。